JADECOM アカデミー 公益社団法人 地域医療振興協会 医師採用

ホーム インタビュー&レポート インタビュー 指導医インタビュー 地域医療を通して地域の患者さんを守りたい-地域医療振興協会の「地域医療のススメ」
INTERVIEW

修了生インタビュー指導医インタビュー

地域医療を通して地域の患者さんを守りたい-地域医療振興協会の「地域医療のススメ」

揖斐郡北西部地域医療センター 管理者・センター長横田 修一

このページに掲載されている情報は2019年06月21日取材当時のものです

揖斐郡北西部地域医療センター 管理者・センター長

横田 修一

大分大学卒業。初期研修2年目に経験した2か月間の湯沢町保健医療センターでの研修にて、地域医療や家庭医療の道に進むことを決意する。それと同時に、後期研修は「地域医療のススメ」を選択。後期研修医として、内科、小児科の基本的な研修を終えたあと、上野原市立病院や揖斐郡北西部地域医療センターでの地域研修を行い、その後、地域医療を実践するうえで必要と感じた救急医療、整形外科、リハビリ、皮膚、泌尿器などの研修を協会内外の施設で行う。2014年4月より、再度、揖斐郡北西部地域医療センターに赴任。現在は揖斐の地域性を捉えた診療に注力しながら、全国より年間数多く訪れる後進の医師や学生に、地域医療の魅力や地域医療で必要な技術、知識を伝えることに携わっている。


薬剤師から医師へ、そして地域医療を選択

私はもともと医師になることが夢でしたが、一度は断念し以前は薬剤師として働いていました。しかし、大学院生のころに行った病院での現場実習で、医師が働く姿に感銘を受け、再び医師を目指すことを決意しました。薬剤師として仕事を続けながら、医師になるための勉強を行い、学士入学のあった大分大学の医学部に入学したことがキャリアの始まりです。

地域医療や総合診療に興味を持ち始めたきっかけは、私が大学4年生のときに講義にいらっしゃった、名郷直樹先生から聞いた話でした。話の内容は、「へき地や地域で活躍できる医師を育てるプログラムをやっているので、興味がある人はぜひ」というものでした。その話に影響を受けて、大学卒業後は東京北医療センターで初期研修医を勤めました。当時は病院の中で活躍する総合医、救急や内科病棟を切り盛りする姿に華やかで楽しいイメージを持っていて、へき地医療には実は懐疑的なところもあったのです。

しかし、地域医療研修の期間に湯沢町保健医療センターに行き、井上陽介先生のもとで地域医療の現場を経験した私は、すっかり地域医療に魅了されてしまいました。私には地域医療や総合診療の道があっていることを実感し、後期研修では「地域医療のススメ」を選択することを決意しました。

実際に地域医療の現場に入って学んだこと

患者さんの生活の一部になることで、患者さんの気持ちを初めて理解した

私が地域医療に足を踏み入れて実際に学んだことは、自分の「当たり前」に患者さんを当てはめないことです。

研修医だったころ、患者さんの「平日は仕事があるので、来られません。」という言葉に対して、あまりよい印象を受けませんでした。病気なのだから、仕事を休んでも通院するべきじゃないのか?とすら思うこともありました。しかし、地域医療の最前線に行き、今まで以上に患者さんとの距離が近くなったときに、今まで私の「当たり前」を患者さんに押し付けてしまっていたことに気がついたのです。

医療は、あくまでも患者さんの生活の一部です。家族の介護や仕事に追われている方にとって、自分の体調が後回しになってしまうことがあります。「親の介護を身一つで朝から晩までがんばっていたら、診療所に来られる時間はないのだな。」と、患者さんの背景を理解したところから始まるのが、地域医療です。

それぞれの生活にいちばん合う形で、医療をツールの1つとして利用してほしい。このように考え方を改めることができたのは、「地域医療のススメ」を選択していたからだと思います。

「この組織を守っていきたい」という気持ちから、この地域に残ることを選んだ

患者さんの生活の一部になることで、患者さんの気持ちを初めて理解した私は、井上陽介先生のご厚意により、「地域医療のススメ」を修了したタイミングで湯沢町保健医療センターに来てほしいというお誘いをいただいておりました。しかし、当センターの副センター長である菅波祐太先生の影響を受け、現在の揖斐郡北西部地域医療センターに赴任することになりました。

しかし、揖斐郡北西部地域医療センターが位置している岐阜県揖斐郡揖斐川町は、人口が21,516人の高齢化が進んでいる地域であるといえます(2018年4月現在)。また、高齢化と同時に、医療資源の不足も問題視されている地域でもあります。特に、私が赴任した2012年は、国としての医療の情勢が大きく変わることに影響を受け、経営面での課題や職員同士の意見の食い違いなど、さまざまな課題がありました。

そのように、さまざまな課題が可視化されスタッフと一緒に改善策を模索していくなかで、次第に私のなかで「地域のために存在している揖斐郡北西部地域医療センターを守りたい」という気持ちが芽生えてきました。それに加えて、私が揖斐郡北西部地域医療センターに赴任してからの恩師である、吉村学先生が宮崎大学の教授になるためにセンター長を降りられたことが、最大の転換点になりました。「次は、自分が吉村先生のように地域を守っていきたい。」と、揖斐郡北西部地域医療センターに残ることを決意しました。

地域医療振興協会のバックアップで成長できる環境を実現

地域医療振興協会の魅力-充実したサポート体制

地域医療振興協会の魅力は、サポート体制が充実している点であると考えます。
私は、揖斐郡北西部地域医療センターのセンター長になりました。まだ、若手ともいえる私に重要なポジションを回してくださいました。吉新理事長や山田副理事長をはじめ、先輩や後輩の先生方、さらには本部の事務局の方のお力添えをいただいて、今でも揖斐郡北西部地域医療センターを維持することができています。それは、地域医療振興協会の組織としてのサポート体制が整っているからこそ成り立つことでしょう。

「地域医療のススメ」の魅力-チャレンジしながら地域医療を学ぶための環境

「地域医療のススメ」の最大の魅力としては、地域医療に対して幅広く学ぶための環境を提供できることだと考えます。研修医として日々を過ごすなかで、どこの病院や施設であっても「細かく指導をしてもらえない」「本当にちゃんと見てくれているのだろうか」と不安になってしまうこともあるかもしれません。

しかし、「地域医療のススメ」では、本当に失敗しそうになっているときや、困っているときには、手を差し伸べてくれる先輩医師がたくさんいます。そして、失敗してしまっても、再度チャレンジできる環境、後押しがあります。

後進の医師たちへ

私は、いろいろな考え方を持った皆さんと切磋琢磨しながら、働いていきたいと考えています。

「地域医療のススメ」に向いている人を挙げるとすれば、チャレンジ精神が旺盛な人や新しいことに挑戦してみたい人ではないでしょうか。また、地域医療は、行政や福祉の話などのさまざまな社会的制度と関わっていく必要があるので、社会的観点が関わってくる医療に興味がある人にも、ぜひ入ってほしいと思います。とはいえ、まずはいろいろな考え方や視点を持つ皆さんと働いていきたいと考えているので、興味があるというだけでもよいと思います。

ぜひ、地域医療に興味のある方は門を叩いてください。一緒に、「地域医療のススメ」を糧に成長していきましょう。

後進の医師たちへ