総合内科的視点の習得で、内科医としての安定した土台作りを
練馬光が丘病院 副病院長新井 雅裕
指導医インタビュー
このページに掲載されている情報は2019年10月31日取材当時のものです
横須賀市立うわまち病院 循環器内科 部長
岩澤 孝昌1992年に自治医科大学医学部を卒業。1994年からは、へき地の病院で9年間に渡り、内科を学ぶ。2001年から国立横須賀病院(現・横須賀市立うわまち病院)の循環器内科にて勤務をスタートすると同時に、地域医療振興協会へ参画。現在は、循環器内科および集中治療部の部長を兼任する傍ら、横須賀市立うわまち病院の副病院長として後進の育成にとどまらず、地域の方々に寄り沿う医療を目指している。
私が循環器内科医を目指した理由は、医学部生の時代から心電図が好きだったからです。よく、仲間と心電図の本やレントゲンの本を持ち寄り、勉強会を開いていたほどです。
そんな私が初期研修医となり、初めて着任した研修先が自治医科大学附属病院の循環器内科でした。自治医科大学附属病院の循環器内科では、日々起こるあらゆるものに多くの刺激を受けていました。そのような環境で学ばせていただいたなかで、循環器内科はカテーテル治療まで含めて、自分で提供することができる治療が多い診療科であることに気がついたのです。私は、先輩に教えていただいたことを自分でもどんどん実践していきたいという向上心と意欲を持っていたので、自分で学んだことを活かせる循環器内科はとても魅力的でした。
しかし、私が循環器内科医になったのは、それから約9年後でした。その間は、地元である秋田県のへき地にある内科の病院で、総合診療に従事しました。往診をしたり、ときには後輩医師の手術の前立ちを手助けしたこともあります。今思えば、たくさん学ばせていただいたこの9年間は、私の人生のなかでも大きなターニングポイントの1つになっていたのだと思います。
へき地の病院から戻り、自治医科大学附属さいたま医療センターに入局しましたが、1年間のサポート要員として、国立横須賀病院(現在の横須賀市立うわまち病院)に移りました。それからは、沼田 裕一(ぬまた ゆういち)先生をはじめとする先輩の先生方にたくさんのことを教えていただいたのですが、その教育に対する熱心さに「横須賀うわまち病院の教育体制はすごい」と大変驚きました。そのことがきっかけで、当院に就職することを決意したとともに、地域医療振興協会への参画も決断しました。
「その土地や人を愛しなさい」という言葉は、私の尊敬している沼田先生がよく口にするお言葉です。地域に寄り沿うとは、まさにその言葉通りではないかと思っています。
不思議なことに、私が横須賀市に来て最初に感じたのが、「とても雰囲気がよくて、馴染みやすい町」という町に対する思いでした。町に対して最初にとてもよい印象を抱いた私は、そこから日々診療を行っていくうちに、この町に住む患者さんの人柄にも、気がついたら惹かれていたのです。そればかりか、気がついたら町も人も自分に合っているとさえ感じるようになっていました。今では、知らない患者さんがほとんどいないくらい。町中で出会っても、患者さんから「先生!」と声をかけていただける。とても喜ばしいことですし、「私自身も頑張らなくては」と身の引き締まる思いになります。
もしも、当院の研修の受講を検討している方がいましたら、ぜひ横須賀市のすばらしさを知ってほしいです。きっと、この街、地域の方々の温かさに惹かれることでしょう。
当院では、診療科、さらには先輩、後輩の垣根を超えて、話しやすい体制を大切にしています。
たとえば、研修医の先生のなかには、特に違う診療科の先生に相談することをためらってしまったり、遅い時間になると「こんな時間に連絡してよいのだろうか」と不安になってしまったりする方もいるかもしれません。しかし、当院には診療科ごとの垣根がなく、ほかの診療科や先輩に対して相談しやすい環境が整っています。スポーツをされる先生も多いので、病院の中だけでなく、外に出ても付き合える仲間ができます。ぜひ、大きく羽ばたきやすい環境で、たくさんの先生から多くのことを学んでほしいと思います。
当院では、総合内科、集中治療部、救急総合診療部がONE TEAMとなって、研修医の先生方がより真剣に学べる場の構築に励んでいます。
総合内科、集中治療部、救急総合診療部が、毎日交代でランチの時間に座学で勉強会を開催しており、自由に参加することが可能です。この勉強会は、内科専門研修プログラムの一環としても受講することができ、学びの場としては最適な環境を提供できると認識しております。
ほかにも、横須賀米海軍病院と連携した勉強会も実施しており、米国の医学に触れられるだけでなく、横須賀米海軍病院から患者さんが搬送されてくることもあります。米国の病院と関わりを持てる大変貴重な機会になることでしょう。
当院では、女性でも働きやすい職場を構築するために、“育児休暇後、目指せ現場復帰コース”を独自で行っています。現在は、男性も女性も働きに出られる方が多いなかで、女性のなかには出産を機に働くことを諦めてしまう方もいらっしゃいます。そのような女性医師のために、出産や育児を終えても現場に復帰できるようにお手伝いをしています。また、女性だけでなく、男性にとっても働きやすい職場であるために、体制の整った診療科からシフト勤務制を導入しています。スタッフの働き方については定期的に委員会などで議題にあげ、休暇を取りやすい環境を作ること、さらには過度な労働を防ぐことに努めています。そのことにより、以前と比較して自分の時間を確保できるようになっています。
私が思うに、人生には、「上り坂、下り坂、まさかの坂」に加えて、「横須賀の平坂」があります。それぞれの坂は嬉しいことや悲しいこと、困難を強いられることなど、人生そのものを表しています。そして、「横須賀の平坂」は「仲間とともに助け合っていれば、どんな困難も苦ではなく、上り坂も平坂に感じる」という意味を込めて、後輩やスタッフに伝えています。
仲間を大切にする横須賀市立うわまち病院には、勉強熱心な先生がたくさんいます。その勉強熱心な先生方と切磋琢磨し、勉強の仕方や生活スタイルを学んでいただけたらと思います。あとは、緊急時に「優先すべきことと切り捨てるべきこと」を明確に判断できるような骨太な医師になってほしいですね。
ぜひ、私たちと一緒に地域に貢献できる医師を目指しませんか?