2019年度 OHSU地域医療視察研修 研修記
2019/06/01~06/08Oregon Health & Science University
場所:鹿児島県鹿児島市
開催日:2017/11/18
このページに掲載されている情報は2017/11/18取材当時のものです
2017年11月18日(土)鹿児島市内にある天文館ビジョンにて、「鹿児島県地域医学研究会総会」が開催されました。これは、鹿児島県出身の自治医科大学の卒業生を中心に構成されている鹿児島県地域医学研究会が行っている総会で、今回で105回目の開催となりました。
鹿児島県地域医学研究会は、自治医科大学の卒業生を中心に1977年に結成された研究会で、略称として会員からは「鹿地医研(かちいけん)」と呼ばれています。
鹿地医研では『鹿児島県の医療に恵まれない地域の医療を確保し、地域住民の保健・福祉の増進を図る』という目的をもって、鹿児島県の地域医療の向上・発展につながる勉強会や研究会を開催しています。
はじめに鹿児島県地域医学研究会副会長 田中修也先生による開会の挨拶が行われました。
田中先生からは「活発な議論を期待しています」とお話がありました。
続いて、南さつま市野間池診療所・笠沙診療所の濱田嵩史先生の進行の下、2017年(平成29年度)の各事業進捗状況や各委員会の活動状況の報告が行われました。
また、2018年10月20日(土)に開催される、鹿児島県地域医学研究会40周年記念講演について準備委員会よりお知らせがありました。40周年記念講演は、鹿児島県地域医学研究会40周年を記念して行われる講演会で、併せて祝賀会の開催や記念誌の発行も行われる予定です。
中尾祐樹先生からは、横須賀海軍病院での研修の報告がありました。中尾先生は横須賀海軍病院にて1週間のエクスターンシップを経験。日本にいながらアメリカの医療に触れた中尾先生は、国は違っても求められるのは多様な経験や、チームワークであると報告されました。
続いて、柳和寿先生より鹿児島大学病院集中治療部での後期研修報告が行われました。
内視鏡、麻酔、外科救急などの研修を1年間行った柳先生は、内視鏡の手技や麻酔を学んだり、ドクターカーに乗ったりというさまざまな経験を報告されました。
10分間の休憩の後、まず地域医療振興協会常務理事 折茂賢一郎先生から地域医療振興協会の活動についてのご紹介と最新のトピックスについてのお話がありました。
今回は、鹿児島県地域医学研究会の活動支援を行っている地域医療振興協会 鹿児島県支部の活動報告だけでなく、山口県など全国の支部の活動についてご紹介されました。
また、最新の研究や治療に関する講義を受けられるeラーニングプロジェクトの開始や、アメリカのオレゴン健康科学大学(OHSU)で開催される地域医療視察研修実施などのお知らせも行われました。
折茂先生のお話の後は、鹿児島県奄美大島の南端にある瀬戸内町の瀬戸内町へき地診療所に勤務する知念崇先生より、へき地近況報告が行われました。知念先生は実際に行っている日々の診療の映像を流しながら、診療所での診療や巡回診療について報告。「地域に必要とされる医療」を届けたいと語りました。
続いて新入会員紹介が行われました。鹿児島県立大島病院で研修中の松田先生は「鹿児島県の地域医療に貢献したい」と意気込みを語りました。
続いて、岩手医科大学呼吸器・アレルギー・膠原病内科教授 前門戸 任(まえもんど まこと)先生による特別講演が行われました。今回の座長は、前門戸先生の自治医科大学同期である、宮原広典先生が務められました。前門戸先生と宮原先生は、この日が約30年ぶりの再会ということで学生当時の思い出をお話しされるなど、和やかな雰囲気で講演が始まりました。
前門戸先生は自治医科大学卒業後、青森県で地域医療に従事。その後、東北大学、宮城県立がんセンターなどを経て2017年4月より岩手医科大学 呼吸器・アレルギー・膠原病内科学講座教授に就任しました。
今回の講演では、肺がん治療のなかでも新しい治療法とされる分子標的薬・免疫療法について、最新の研究データを交えながらわかりやすく解説いただきました。また、教室の運営や研究を行うにあたって心がけていることなどもお話しされました。質疑応答ではさまざまな質問が飛び交い、盛り上がりをみせました。
鹿児島県地域医学研究会副会長 福田弘志先生による閉会の挨拶をもって第105回鹿児島県地域医学研究会総会は終了しました。
「鹿地医研」では、今後も鹿児島県で活躍される先生方が交流を深め、積極的に意見交換を行う場として、定期的に総会を開催し、鹿児島県の地域医療の向上・発展を目指します。
鹿児島地域医学研究会(以下、鹿地医研)は、へき地や離島で働く医師たちの情報交換の場、そして自らのキャリアパスへの不安などを共有し軽減するために始まりました。メールやインターネットのない当時、地域医療の質の向上や、医師のスキルアップに少なからず貢献してきたと考えています。
私は鹿地医研の設立に携わり、会長として人材の発掘やネットワークの構築に努めてきました。会長を退いたあとも鹿地医研で培われた経験や知見が失われることなく、脈々と続いているのは皆さんのご尽力の賜物です。鹿地医研が日々価値を高めながら現在も継続し、100回を優に超える総会を開催できていることこそ、その証明といえるでしょう。
今後も変わることなく鹿地医研の経験と伝統、ミッションを受け継いでいくこと。そして異なるキャリアパスを経験する後輩諸氏のための「帰ってくる場所」としての役割を果たしていきたいと思います。
自治医大と鹿児島県、そして地域医療振興協会の架け橋として未来に向けて歩んでいきましょう。